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凪の始まり  作者: 樹本 茂
8月 リリィさんと海(前編)
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7 リリィさん食事中

今年は総勢100名を超えるパーティになった。オーナーは組合の会合で夜の花火での合流になるとの事で、お偉方の長い話を心を無にして聞き流すと、コースの料理が運ばれてくる。


今日はコースの料理を頂きながら、好きなお酒を好き勝手飲みまくり、場もあったまった頃にビンゴ大会になる予定だ。


「リリィさんは嫌いな食べ物とかってないの?」


「ないよ」


前菜を美味しそうに食べながら、微笑むリリィさんに定型文なやり取りをしてみた。


「そう言えば、未海さんはいつもニンジン残して、俺に今日も食べないの? って聞かれているよ」


「へぇー、そうなんだね。未海ちゃんと佐藤君仲いいの?」 


「そうなんだよ。俺の前の席だからね。給食の時には、一緒に食べてるんだよ」


「そっか、未海ちゃんか……」


「リリィさんは未海さんとは仲いいの?」


「うん、とっても仲良し」


とっても、仲良し……

未海さんにリリィさんの話した時は、何だろう。なんか変な空気に陥ったよな。逆からは全く違う感じだな。小学生なんてそんなもんなのかな。


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