4 リリィさんの夢1
「暑いね、佐藤君」
ノースリーブに短パン姿のリリィさんが先に来ていた俺の背中から話しかけてきた。
まだ、梅雨明けはしていないが、もう、いつ開けてもおかしくない。真っ青な空と蒸し暑い空気が南東北のここにもやって来た。もう、夏なんだ。
「リリィさん、これから、暑くなってもここに来るの?」
「来ると思うけど、何で?」
「いや、リリィさんに会えなくなったら寂しいなって思ってね」
そう、俺はこいつを学校に連れて行かなければならないのだ。いまは、こうして距離を測っている様な状態だが、ここに来るたびこのラスボスの攻略を考えているのだが、決め手に欠けていた。
「リリィさんさ、将来の夢って何?」
「将来の夢? これまた、難しいお題を突っ込んできたね。将来って何? 夢って何?」
あ~、こりゃめんどくなるパターンかな。
「違うよ。学校でさ、将来の夢を書きなさいって作文がだされて、それで、俺はね。何も書かずに白紙で出しちゃったんだ。それで、きっと書き直しになるはずなんだよね。それで、参考にならないかなって思ってね」
「佐藤君の夢でしょう? なんの参考になるのよ」
仕掛けを作りながらついでに答えている。




