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1 将来の夢
「今日の国語の授業は作文です。テーマは、『将来の夢』、この時間で終わらせてください。後程、文集としてまとめます」
陽葵先生の爽やかな笑顔とともに、突如、やってきた、この作文の時間。将来って……何のジョークだよ。俺は冷笑気味ににフッとため息をこぼし、遠く窓から見える、青く輝く太平洋に視線を送った。
ご学友はそうでしょう、そうでしょうとも将来の夢を持つべきです。でも、ね、俺にそれを書かせるの?先生……陽葵先生。
俺は窓から見える晴天の太平洋を眺め、居心地の悪いこの時間をやり過ごしていた。
「それでは、お終いにしましょう」
陽葵先生が笑顔で終わりを告げた。結局、何も書かずじまいだ。白紙。白紙はいくら何でもまずいよな……




