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凪の始まり  作者: 樹本 茂
6月 追憶
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13 お嬢さん 悪い意味で……

「難しいですね」


俺は給食後の教室で、他の児童は強制的に外で遊ぶように仕向けられている誰もいない教室で、リリィさんについて、現状の報告を陽葵先生と向き合って立ち話をしている。


「そうですか……」


そうですよ。伏し目がちに視線を移動させては見たものの、今一つ、叩いても響かない感じの先生に、


「どういたしましょうね?」


なんか意見はねえのか。と、暗に語調に乗せ、さらに、どないすんねん、何か考えろや。と、上乗せして、陽葵先生に迫った。


既に六月も終わりを迎える。満島先生に迫られたあの日から2か月が過ぎているのも事実だ。その間、俺が何回かコンタクトしているが、リリィさんに直接、学校に来いと言った事実は無い。だって、言ったら、かえってこなさそうだから。


そして、目の前のお嬢様だ。しばし逡巡する様なポーズは見せてはいるものの何処まで本気で考えていらっしゃるのやら……あれかな?俺が、赤じゅうたんでも敷いてあげないと、どうぞお願いいたします。と、道を作ってあげないとやらないのかな?


いや、ふと思った、ただの主観だ。

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