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凪の始まり  作者: 樹本 茂
2015年8月 凪の始まり(後編)
377/387

24 2015年8月 24

「うん……

うん……

うん……

うん……

うん……


うん、


私、あの日、けんたろーが防波堤で……


海で……

水族館で……


優しくしてくれていた時からずっと、ずっと大好きだった。最初はお父さんが、また、現れたのかなって思っていた……


でも、やっぱり、それは、けんたろーで、優しいけど、決してお父さんみたいな優しさじゃないけど、優しくて……


それで、あたし、ずっと、ずっと大好きだった。


絶対、私、この人と家族になるって子供の時から、今でも子供かもしれないけど、小学校の時から思っていた。私にしてみれば、遅いよ!けんたろーって感じだけど……」


大きな薄茶色の瞳からポロポロと大粒の涙を流して、ときおり手で拭きながら、俺を見ている。今まで、はっきりとリリィさんに俺は意思を示さな過ぎたから、ずっと苦しめてしまっていたんだね。


泣きながら笑顔になって来たリリィさんは、


「嬉しいよ! けんたろー、家族になろう!


私は、あなたに幸せしか運ばない。あなたの前から消えたりしない。


安心して!

望んで!


一緒に幸せになろう!!


私だって、けんたろー に貰ったんだよ。パパが死んじゃって、なんにもなくなった心を けんたろー は幸せな気持ちにしてくれたんだよ。


次は、私の番だよ。けんたろー、私があなたを幸せにしてあげる!!


ありがとう! ずっと待たせたね!

これからはずっと一緒だよ!!」


リリィさんは隣で防波堤に座る俺の上にまたがって抱き着いて、満面の笑顔で俺を見つめている。


「私、言ってたよね?

大好き!って、

それを信じてなかった?


けんたろー!

けんたろーは臆病すぎるよ!


ここに私が来てる時点で、あなたの事、大好きって事じゃない!

もっと自信持った方が良いよ!


分からないなら、言葉にしようか?


けんたろー!!!!

大好き!!

ずっと、ずっと大好きだった!


ずっとずっとずっとこれからも大好き!


ずっとずっとこれからも!!


愛してる!!!!!


分かったかな!!


私の大好きな、元大人同級生、佐藤健太郎君!」


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