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20 2015年8月 20
「佐藤君……
私決めたの……
あなたの気持ちが分かったから……
もう決めた……」
「待って!
リリィさん……
俺の話を聞いてから、その先を言って欲しい……」
砂浜にスーッと消える小さな波の音だけが、俺とリリィさんの間に広がっている。
俺をスッと見つめる彼女は……
俺の言葉を待っているようだ……
俺は一つ大きく息を吸った。
これが最後だ。
今、リリィさんに、俺の気持ちを全部……格好悪くても、全部さらけ出さないと、彼女が俺の前から消えてしまう。
だから、俺のなかの常識とか、やっちゃダメな事とかそんな事取っ払って、大粒の涙を流して、ここに来たことを後悔し始めている彼女に俺は掛け値なしの心をぶつける。
自分の気持ちを相手に押し付ける気がして、俺が苦手としていた、ホントの胸の内をぶつける。
俺の偽りのない本心を聞いてもらうんだ。




