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凪の始まり  作者: 樹本 茂
2015年8月 凪の始まり(後編)
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18 2015年8月 18

「リリィさん!」


防波堤へと続く3m程の防波堤の上へと延びる階段を上がり切ったそこには、砂浜の方に足を投げ出し、防波堤に座って海風にふかれる長い髪を手で押さえている彼女が、蒼い月を見つめて、大きな瞳から涙を落として、俺の問いかけには反応も無く、ただ、ただ……月を見ていた。


「リリィさん……

まだ、答えを出さないで……


とにかく、俺の話を聞いて来てくれないか?……


それからでも、答えを出すのは遅くないよ……


4年間もかかったんだ、1時間くらい俺に時間をくれないか?」


まったく反応の無いリリィさんに俺は必死に問いかけた。


格好悪くたって良いさ。

今、もがかないと、俺は大切な彼女を失うんだから……

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