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14 2015年8月 14
「すいません……
篠塚さん……
戻ってますか?」
「ああ……
どうしました?」
リリィさんの寮に俺は……
女子高生の巣窟に出向き、寮母さんと玄関口で立ち話をしている。
時折、興味津々な女子高生が俺の周りを行ったり来たりする中……
「佐藤さん……
本来、寮生の事はお話しできないんですよ。ご存じですよね?」
「はい」
「それに、夕方、あなたが迎えに来てたんじゃないんですか? それなのに、戻ってますかってのは……理解に苦しむんですが……何かあったんですか?」
「はい……すいません。
途中で、喧嘩してしまって……人込みで見失ってしまって……」
「そうですか……
でも、戻ってるかって聞かれても、私は答えられませんよ。年頃の女の子ですから、セキュリティは万全でなければ、ならないので……」
「はい」
「それでは、お引き取り願えますか?」
「はい……
もしも、戻ってるなら、戻ったら、連絡くれるように伝言願えますか?」
「承知しました。連絡するかしないかは彼女次第ですよ」
呆れた感じで俺を見る寮母さんは、そう言って、とっとと帰れと体現していた。




