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港の周辺は既に大勢の人でごった返して、普段の人影まばらなこの街では、見る事のない活気に満ちていた。
「けんちゃ~ん! こっちよ!」
雅さんが遠くで馬鹿でかい声を上げて両手を振っている。
「オーナーお久しぶりです」
「……おう! 健太郎、元気か?
お前なんかどうでもいい、こんにちは、お嬢さん」
「お久しぶりです」
「……いや~!!
久しぶりだね、元気だったかい?
それにしても、また、女っぷりを上げたんじゃねえかぁ?
今年で二十歳くらいだっけ?」
オーナー5年前と言ってること変わってませんよ……
「17です」
「じゅ……はあ、そうだっけ……
まあ、楽しんでってね」
がっくり肩を落としたオーナーは、そうリリィさんに言うと、最前列の中央、自分の席へと消えていった。




