36 2015年5月 36
リリィさんは日本語が喋れるにもかかわらず、国籍も日本なのに、微妙なのは、メンタリティくらいなのに、交換してどうするのかと俺は思ったが、激しいプッシュで、自分の強引な自薦で、交換留学生に選ばれて、お母さんと暮らしていたモスクワから、一人はるばるやって来た。
俺の為だけに。
俺との約束を守る為だけに。
一年間限定で。
「けんたろー……
覚えてる?
私……
けんたろーの事、大好きって言ったの……
何度も何度も言ったの、覚えてる?
けんたろーは、全然相手にして無かったけど……
どう?
これで、少しは……
他人を信用できる様になった?
あなたは……
あなたには……
いなくなっても、絶対にあなたから離れないって言ってくれる人が必要だったのよ……
待ってても、待ってても……
絶対に、あなたの前に戻って来る人の存在が必要だったの……
私は、あなたの為に、あなたにとっての絶対を、他人を信じる気持ちを思い出させたくて……
戻ってきたの。
それが私の……
あなたへの大好きの……
証明よ……
私は……
あなたに……
絶対……
悲しみを与えない……
だって……
私は……
あなたの事を……
大好きで……
愛しているんだから……」




