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25 2015年5月 25
「ねえ! あなた!」
小さな商店街を抜け、もう少しで港に出るその時、小さな歩道を遠慮なく全力疾走中の私を呼び止める女の人が……
「やっぱり!
リリィちゃん!
そうでしょう?
元々、大人びてたけど……
制服着てなかったら、まったく分からなかったよ……
本当に綺麗なお姉さんになったね……
私の事、分かる?」
分かる……
私に浴衣を着せてくれた……
私のワンピを作ってくれた……
けんたろーのお姉さん。
「わかります! けんたろーのお姉さん!」
「お帰り! リリィちゃん!」
その人は、咄嗟に私に抱きついて、街中なのにワンワン泣いていた。




