23 2015年5月 23
「リリィちゃん……分かった?」
「……」
「……私ね……何日か前に水族館に行ったら、堤防の先端で釣りしてるの見たの、それで、会いに行ったの……佐藤さんに……
それでお話して……」
未海ちゃんが少し俯いた。
「何?」
「リリィちゃんを待ってるのって聞いたら……
違うって……
でもね……
聞いて!
私、すぐに分かったの!
絶対、リリィちゃんを待ってるって……
それで、いつもあそこにいるんだって、だって、だって、佐藤さん真っ黒なの、顔から、身体から、日焼けして……
あんなの、あそこにずっといなきゃ、なるはずないもん。絶対にリリィちゃんが来るの待ってたんだよ!
それに持ってた竿とかも堤防の上にただ転がってるだけで、餌も仕掛けも持ってないの……この間、自分で釣りして、見たけど……
確認したけど、やっぱり、仕掛けなしじゃ釣れないよね!
だから……
ずっと、ずっと、ずっと!!
佐藤さんはリリィちゃんを待っていた!!
待つためだけにあそこにいるの!
あの日、一緒に釣りした日に、リリィちゃんに見せたくて、連れてったんだけど、あそこに居なくて、それで、言いそびれて、ゴメン。
私も、結城さんも知ってたの。でも、言っていいか、佐藤さんは違うって言うし、リリィちゃんがどう思ってるかもわからないし、それで、ゴメン。
でも、リリィちゃんの腫れた目を見て分かったの。
もっと早く言えばよかった。
あの場で言おうとも思ったんだけど、言おうとしたら、アッというまに、いなくなっちゃったから……
だから……
リリィちゃん……
あそこに行って!
絶対に佐藤さんは……
あそこであなたを待ってるよ!!」




