333/387
16 2015年5月 16
「健太郎……あたしさ……いよいよかも……」
夕方、休憩から帰った雅さんが、事務所に入るなり、深刻ぶってドカッとソファーに身を預けた。
「どうしたんすか?」
「……うん……言いずらいんだけどさ……街行く娘がさ……リリィちゃんに見えるんだよ……」
「はあ……」
「ふとさ、フット前見るとさ、前から歩いて来る二十歳前後の美少女がさ、リリィちゃんに見えて困ってんだよ……」
「ああ、わかります……
俺も、このあいだ、そうなりました」
「ちっ!
あんたの病気……うつすんじゃないよ! 怖いな! ボケたんじゃないかって、もうドキドキだよ」




