13 2015年5月 13
「……仕掛けなしじゃ……釣れない……よね?」
「当たり前じゃない!
天然なの?
狙ってんの?
ちょっとばっかり可愛いからって!
そんなに男受けが重要なの!!」
「これを……
ここに通して……」
「ねえ! 未海ちゃん! やったこと無いのに、何でこんな事しようと思ったのよ!!」
「だって、ここに居たら、釣りの一つもした事無いとか……
やっぱり、まずいかなって……」
「ねえ! あなた! なにキョロキョロしてんのよ!
良い男でも探してんの?
向かいの防波堤にいい男いた?
この間、しけたおじさんが一人居たけど!
それにしたって、出来なさすぎでしょ!
私、呼ばれたから来たけど!
それほど、好きじゃ無いし、餌は臭いし、そもそも、暑いの苦手なのよね!!
だいたい、こんな水族館の裏側で釣れるの?
この間行ったところの方が釣れそうじゃない?」
「え?
でも、ゴールデンウイークで人いっぱいだし……
あ、ありがとう……」
「ねえ! あなた出来るの?
じゃあ、私のもやってよ!!
で? どうすればいいのよ!」
「ここに指をかけて……
こうやって投げる……」
「あ! 凄い飛んだ……
え?
上手じゃない! あなた」
「ここに指かけ……
て、
あ!
ありがとう……
それと……
竿……
え? 上下? するの?
やっぱり、黙って置いておいても釣れ無いよね?」
「そうよ……
餌が籠から漏れて、匂いで集まった魚は、この小さな針を餌と間違えて……
それで……
勝手に釣れるわ……」




