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12 2015年5月 12
分かっていた。
雅さんに言われるまでも無く、俺は分かっていた。
いつも考えていた。
ずっと考えていた。
ずっと……
分かっていた……
そうなんだ……
もう……
十分……
あの場所に、通ったよな。
もう……
十分……
なんだよな……
なんでもいいから……
別の事をして、少しづつ……
忘れたい……
「雅さん!!」
俺は店の外を出て、小路を店に向かって歩く、雅さんの背中を追いかけて、声を掛けた。
その場で、振り返り、俺を睨む雅さんに、
「いいですよ、バイト……
これから……
行きます……」
「そうか……
そうか!
そうか! 健太郎!
ユー、やっちゃうか?
来ちゃいなよ!
ユー、掃除しちゃいなよ!!」
嬉しそうに、俺の頭をガッチリ腕でヘッドロックを決めて髪の毛をワシワシして、笑っていた。




