327/387
10 2015年5月 10
そして、建物は既に40年を超えていると思う、古い2階建ての、昔からの造りだが、他に何もないこの街では、それなりに客が入っている。
夕方過ぎの5時過ぎで、女子高生がたむろする可愛いものを売る店の中に……
あれ?
リリィさん?
髪の毛のクリ色ストレートがリリィさんっぽかった子が一瞬見えて、入り口から外へ出て行った……
市内の高校の制服着てる。
そんな訳あるか……
ああ、ダメだ。
重症だ。
そのくらいの子供を見ると、みんなリリィさんに見える。
くそ!
目の前の、昔のおねいさんを見て、脳を校正するとしよう……
「ケンちゃんさ、明日からゴールデンウィークでしょう?
どう?
ウチでバイトしない?」
「何やんのよ」
「部屋の掃除と送迎」
「ヤダよ」
「なんでよ、人、足んなくてさ、困ってんだよね」
雅さんは、この四月から店長になった。
「オーナーに怒られるから……」
「黙ってりゃ、分からないよ、ねえ! 健太郎~」
甘えるな……




