3 2015年5月 3
「俺は、ここに来たいから来てるだけ」
「……そう? なら良いけど……
背中はそう言ってないよ。
でも、さ、真面目な話、ケンちゃんいつまで、こうするつもりなの?
見てて、なんか……
痛々しいって言うかさ……
ちょっと、何やってんだリリィ!って怒ってやりたい気分だな。あたしの大切な弟をこんなに弄んで……」
おれの横顔をみたまま。
「余計なお世話かもしれないけど……
余計なお世話だけど……
もしも、今年何の知らせもなかったら、すっぱり忘れた方がいいよ……
それはケンちゃんには身を切られるように辛い事なのかもしれないけど……
どっかで線を引かないとさ……
駄目だよ。もうすぐだよね大学卒業、そこまでは最悪引っ張っても、その時点で5年くらい?になるんだろう……
そこまでにしな……
余計なことだって分かってるよ、でも、誰かが言ってやらないと……
ケンちゃんはずっと待つだろう?
あんたはそんな人だからね。
言いたくないけど……
なんにも連絡が無いってのが一番……
分かりやすい証拠なんじゃないのかな……」
そんな事は言われなくても分かっていた。
考えなくてもそんな事は分かっていた。
待っても来ない事なんか俺の人生では当たり前だった。
むしろ来たことがないから……
来ないのが当たり前だと思っている。
でも、どこかで来て欲しいって思っている……
一度でいいから……
誰でもいいから……
ただバカみたいに待つ俺の前に、現れて欲しいと……
心から願っていた……




