表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凪の始まり  作者: 樹本 茂
2015年5月 凪の始まり(前編)
318/387

1 2015年5月 1

俺は、オーナーに解雇されてから、子供の時の夢だった忘れていた16年を取り戻すために、高卒認定から地元の大学の教育学部、4回生になっていた。


でも、俺は毎週末、講義の無い午後、必ず防波堤の先端に来て、釣りをしていた。


違うな……


……リリィさんを待っていた……


必ず来ると俺に約束したリリィさんを待っていた。

俺は、信じたかった。


必ずという言葉を。


だから、いつも待っていた。


一つくらい……

叶う事が有っても良いかなと思って待っていた。


それでも、まる4年が過ぎ、5年目となっていた。


やはり、正直な事を言えば、子供との約束を真剣に信じていること自体、既にどこかおかしな奴に自分自身で思われて、夜な夜な、もう行くのをやめようとも考えていた。


でも、あの日、二人で撮った写真が入れ込まれている、リリィさんが俺の膝の上に乗って首に手を回して、ニイと笑う、水族館のお姉さんに訝しげに見られながら撮った写真が付いた、もう使えなくなった水族館の年パスを時々見ると、彼女は簡単に約束を破らない……


そんなはずはないと思ってしまって、なかなか諦めきれないでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ