39 卒業アルバム2
『たくさんありがとう』
六年一組 篠塚百合
私は、1年半前に、モスクワから、ここに転校してきました。そして、ここで、大きな出来事がありました。大切な人との別れと出会いです。
お父さんとお別れしました。
大好きなお父さんが突然、死んでしまったのです。毎日、毎日泣いて過ごすしか出来ません。お母さんも同じでした。どちらかと言えば、それはお母さんの方が慣れない異国の生活と大好きなお父さんを無くした事で、ストレスが溜まりお母さんはとっても困っていました。
そんな時、私は大切な人と出会いました。クラスメートです。大人です。大人小学生の佐藤君でした。
その大人小学生は私を学校に通わせるために毎日、毎日、私が只、無心になれる場所、海の眺められる防波堤に来て一緒に釣りをしてくれるのです。何も言いません。学校に来いって言いません。ただ、普通におしゃべりして、それだけ。
でも、ある日、佐藤君は気が付いたのです。私が学校に行かない理由に。その時は、とても信じられませんでした。そんな事が、そんな人がいるなんてことに。
とても嬉しかったです。とってもありがとう。と、思いました。私は一人じゃないってそう言ってもらったみたいで嬉しかった。
佐藤君は、それに気が付くと、あっという間に問題を片付けて、そのおかげで、今は、学校に通えています。
私は、日本で大切な人との別れと出会いをしました。
私は、お父さんが大好きです。これかもそれは変わらないでしょう。でも、一日、一日、お父さんを思い出す時間が少なくなってきました。その代わりに佐藤君の事を思う時間が増えてきました。
私はこれからの未来で佐藤君との出会いを有意義なものにしたい。だって、私の事なんか構っても何の得にもならないのに、先生だってほったらかしだったのに、真剣に私の心配をしてくれる。そんな、特別な存在の佐藤君に出会えたからです。
佐藤君が大好きです。
ありがとう、お父さん。
ありがとう、佐藤君。




