表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凪の始まり  作者: 樹本 茂
3月 卒業
316/387

38 卒業アルバム1

『俺の夢』


六年一組 佐藤健太郎


 私は、16年遅れて六年生になりました。満島校長先生のお力添えと先生方、PTAのご理解で私は無事に卒業することができました。この場をお借りしてお礼を言わせてもらいます。


 最初に、六年生をやらないかと言われたときは、流石に冗談か何かだと思いましたが満島先生はいたって真面目、真剣で、聞いた私が面喰ってしまいましたが、すぐに先生の本気は私にも伝わり、この御誘いを受けないと、私は後悔する。一生後悔すると……


いや、当時はそこまでは思っていませんでした。


御誘いを断る事への申し訳ない気持ちの方が強かったか。と……


でも、今は間違いなく、断らなくてよかったと、チャンスを頂いてありがとう。と、本心で思います。


ある時、先生はおっしゃいました。


 「夢をあきらめるな。大人こそ夢を持って、夢の原石を自分で磨け」と。


何故、そんな事になったかと言うと、この卒業文集に書く、まさにこの原稿を私は授業中一文字も書かずに、つまり、白紙で返したからです。


それは、六年生の周りのご学友の夢があまりにもキラキラ眩しくて、とても、日々の生活に追い立てられている私の様なものが描く、どっかから持ってきた、とってつけたような夢の話があまりにも陳腐に見えそうで怖かったからでした。


 そんな事は、満島先生はお見通しだったのだと思います。暫くしてから、校長室に呼び出されました。その時に言われたのが先ほどの言葉です。それから、こんな事も仰っていました。


「無いのなら、今すぐ夢を持て、そして、臆面もなく叫びなさい。それが、可能性になるのだから」


私はどこかで自分の可能性を見積もって、自分で上限を定めていたようです。その言葉で、私は気が付いたのです。夢を見ることの意味が、重要さが。


満島先生、ありがとうございました。先生の言う通り臆面もなく叫びます。


俺は教師になる。


満島先生の様な、ずっと昔の生徒も見捨てない先生になります。

天国で見守っていてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ