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凪の始まり  作者: 樹本 茂
3月 卒業
304/387

26 別離2

昔の俺は、そのまま、中身を見ずに仕舞ったんだ。


忘れていたけど、俺が中身を見て嬉しそうにするところを母さんは見たいだろうと思って、中を見ずにしまっておいたんだ。


手を伸ばしたその箱は、表面はざらざらして、茶色の埃がこびりついて、湿度のせいなのだろうか箱は頼りなげに柔らかくなっていて時間の経過を17年の経過をそれは声高に主張している。


もう、箱を開けた時の俺の表情を見せたい人は、それを見ることが出来ない、永遠に。


……開けるか……


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