24 奪われた日常24
いつも、くそ生意気な子だけど、時々、俺はおかしくなる。
完ロリは12歳だという事実を俺は忘れている事が多くて、いや、むしろ逆か、ほとんどそんな事など思っていなくて、見た目の通り、もう少しお姉さんの様に扱っているのだが、俺を離したくなくて、でも、無理に我慢しようとしているリリィさんを見てしまうと、俺は……背を向けることが出来なくなっていた。
「リリィちゃん!」
未海さんだ。ナイスタイミング、推しロリ!
ぱあっと明るくいつもの笑顔になったリリィさんを見届け、俺はそっと教室を出た。完ロリと推しロリが手を繋いで嬉しそうに談笑する姿を脳に焼き付けて。
写真撮ってもいいっすか……携帯持ってねぇ……
いつも……取りたい時に持ってねえよなあ……
店は津波の大きな被害は無かったが一階の床上まで海水に浸かっていた。これなら、何とか復旧できそうだ。キャストと客、郷田さん、キョートーも避難訓練通りに動いて人的な被害は無かった。
「こりゃあ、大変ですね」
「いや、これならば地震保険も適用されますので、さほど大きな損害にはなりませんよ。人の被害がなったのが何よりです。店長は何処に避難されていたんですか?」
「俺は、同級生を助けるために命を張っていました」
少し盛った。
津波は沿岸を襲ったものの街中の被害は軽かった。ウチの店は海岸からすぐ傍だったが、その程度で済んだ。同じ街でも場所により被害の大小に差があり、それは海岸の形だったり、海底の地形だったりで差が出たらしい。
店は床下浸水、俺の家は地震の揺れで荷物がめちゃくちゃに落ちていたくらいで津波の被害は無かった。
この時点で、俺は、いや、俺を含め大抵の者は、時間の問題で片が付くと考えていた…………




