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23 奪われた日常23
未だ激しい余震は一瞬の間も途切れず永遠とも思わせるぐらいに揺れは続く。
俺達は水の引いたのを確認し、道路を歩いて、避難所の学校まで戻った。そこは、周辺の住民が大勢いて、体育館の中はもとより教室の方まで避難所に使われていた。
俺は、学校の六年一組の教室にリリィさんとリリィさんのお母さんを置いて、店へと向かうことにした。
「リリィさん、俺は一度、仕事場に行ってくるね。時間は分からないけど戻って来るから」
手を振り戻ろうとした俺にリリィさんは頷いたが、不安げな目を向けている。そんな目で見るなよ。別れられなくなる。
キャラにない怯えた目のリリィさんが俺の判断を曇らせる。
……その顔は、やっぱり、子供だった。




