288/387
10 奪われた日常10
「………………防波堤から水が……波が」
海面の高さが防波堤の高さと同じで、時折、いや、既に恒常的に防波堤からこちらに海水があふれ滝のようになっていた。今いる高さは凡そ防波堤の上面の高さと同じくらいだ。つまりは、このままいけば、海水は最低でも、この高さまで、やって来る。という事を暗示している。
背面は崖、周囲は既に浸水して、大きな黒い水たまりのようになっている。おそらく、推測だが、さっき走ってきた道路は2m程下の水底になっていると思われた。
逃げ場が無くなった……




