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5 奪われた日常5
俺は校庭で車座になるクラスの一団に完ロリがいない事に気が付いた。最近は推しロリと仲良くいつも一緒のところを見ていたが、震える推しロリのそばに完ロリ、リリィさんの姿は無かった。
「未海さん、リリィさんは?」
「あ、さっきまで一緒だったけど、どこ行ったんだろう」
未海さんも当てがないようだ。俺は傍にいた陽葵先生に
「リリィさんは何処に行ったか分かりますか?」
「点呼の時には居ましたけど……」
聞いてみたものの、先生も同じような反応だ。
俺は、この連続で揺れ続ける状況で、ふらっと、いなくなれるような、そんな状況ではとても無いと考える。この状況で、仮にリリィさんがどこかに行くとしたら、真っ先に俺は、リリィさんのお母さんの事が思い浮かんだ。リリィさんの不登校の直接の原因になった、リリィさんの大切なお母さんの存在。そのお母さんが心配になって、リリィさんは家にお母さんを見に帰ったとしてもそれは、全然、全く、不思議ではなかった。




