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17 リリィさん……
「やっと笑った……」
まっすぐに俺を見るリリィさんがテーブルの反対側、今まで嬉しそうにケーキを眺めてハアハアしていたリリィさんが表情を変え、時々見せる大人な表情をみせながら小さく。
「けんたろー、あんまり思いつめないで、けんたろーのいい所だけど悪いところでもあるよ。大好きな先生が死んじゃったんだから、仕方がないとは思うけど、そんなの校長先生は望んでないよ。絶対に。
だって、けんたろーに幸せになって欲しくて、けんたろーを小学生にしたんだから、私に合わせたんだから、ね? いい? わかったら、暗い顔禁止よ!」
まっすぐに俺を見る彼女の瞳に吸い込まれそうになっていた。
あまりにも美しい、薄茶色の透明感を纏った程よく潤んだ瞳は、部屋の照明の美しい色彩を吸収し、煌びやかに輝きを増幅して、俺の心に入り込む。




