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12 運動会2
五月にしては暑い快晴のグラウンドで、俺は雅さん達の気持ちを有難く受け取り、午後への英気を蓄えた頃、
「……やってるな~」
オーナーが現れた。
「オーナー、どうして?」
「……いや、お前、運動会ってのはこういうものだろう。お前の親代わりだ。満島君にも挨拶しないといけないしな」
何故か余計にあった椅子に座っている。……雅さんか……
「ありがとうございます」
「……何言ってんだ、子供の運動会に来た親に、子供が礼を言うなんて変な話だな」
雅さんを見て、
「この料理は、雅さんか? 健太郎の為にありがとうな。それに、ことりちゃんも千絵ちゃんも場所取りご苦労さんだったな。ありがとう。料理、うまそうだな。俺にも分けてくれないか?」
白髪交じりのオールバックの縦縞黒スーツのオーナーはレイバンのティアドロップをかけて、どこから見ても、運動会の応援PTAの中にあって異質ではあったが、穏やかに微笑んで俺達に優しい時間を運んできた。




