39 陽光
「レイアさん……俺……何かできること無いですか?」
すっかり日が明けたホテルの部屋で、綺麗なスーツに着替え、化粧を終え、さっきまでの事がまるで何もなかった様に振るまうレイアさんに俺は聞いた。
「ほら、絶対そうなる……
健太郎ダメだよ。
これは私の事。
だから、あんたには関係ないの。
あんたの力では、なんにも出来ない。
いい?
立派な男になって、それでね。その時の好きな子に同じ思いを伝えて、私に向ける感情じゃないよ。私はあなたの初めてを奪った、ただの商売女。
むしろ、それ以上を私に望むようなことがあったら、遠慮なく警察に通報するよ!
良いね?
私に会いたかったら、お金を持って来な。私はそういう女なんだから、お金が切れれば縁が切れる。
そういう女。
好きだ愛してるを道具にしている女なんだ。変に本気になんかなるんじゃないよ!!
いいね! いい迷惑よ。分かったら、さっさと服着て、帰るよ。途中まで送ってあげるから……」
ああ、全然……
セリフは凄んでいるけど……
涙、浮かべてるじゃないか……
芝居が下手すぎだよ。
「レイアさん、そんな風に悪者にならなくたって、いいですよ。
俺は、レイアさんの望む様に、遠く福島からあなたを想っているだけです。
いつでも、また、俺の店に来てください。
その時は、喜んで迎えに行きます。
だから、また、お会いしましょう。
今度は福島で」
結局、レイアさんは上野駅の中まで見送りに来てくれた。悪者になり切れずに結局、泣きながら見送ってくれた。




