表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凪の始まり  作者: 樹本 茂
12月 健太郎は人を愛せない
201/387

16 レイアさん10

「レイアさん……それって泣くことじゃ無いですよ。

おめでとう。です。俺に、ちゃんとおめでとう言わせて下さい」


「ああ、そうだ。ちゃんと言って!」


細い指で涙を拭い、背筋を伸ばして真っ直ぐに俺を見るレイアさんに、


「おめでとうございます。俺との事を無かった事にされるってのは……

ちょっと……

かなり寂しいけど、でも、それがレイアさんの幸せなら……


それは俺も嬉しいです」


また、一筋、涙を流す。


レイアさん……


泣かないで……


「もう……女を泣かせるな!!」


笑顔をつくりながら、目に浮かぶ涙を拭いて、俺の肩にもたれて来た。

とても良い匂い、大人の女性の妖艶な匂いが心に残った。


俺とレイアさんは、俺が店に入ってすぐのころからの付き合いで、最初から面倒見の良い人で何かと気にかけてくれて、それが俺の絶望していた心の明るい希望だった。そんなレイアさんがここに来なくなるのは、とても寂しい事だが、この仕事の終わりは、それは新しい生活を意味する事がほとんどで、それが結婚して幸せになるとういうのなら……


それをおめでとうと言うのが一番の、最高の贈る言葉になるのだから、俺の、所詮、子供の気持ちなど、心の奥底にしまって、大好きな……


……お姉さん……


の幸せを祈るのが、今の俺に出来る……


精一杯だということ位、分かっていた。


さようなら、ありがとう、レイアさん。

大好きな……

俺のお姉さん。


それが俺とレイアさんとのお別れに……なった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ