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14 レイアさん8
「健太郎……
私、もうここに来ないよ……
私……
私、やめるんだ。この仕事」
「え?」
抱かれた頭を離して俯くレイアさんの顔を覗く。
「なに? 普通はね、それはおめでとう、もう戻って来るなよっ、て言うもんだよ。あんた、その顔……分かりやすく、寂しいって、永遠のお別れみたいになってるじゃないの」
そうだった。
そうなんだ。そうしなければならなかったのに俺は、レイアさんの事を俺は、親切なお姉さんというよりももっと違う……何だろう……難しいけど、レイアさんの事を考えると楽しくなるというか、そんな気持ちを持っていた。
「やめて……
どうするんですか?」
「ん? ……
どう……
どう?か……」
何か躊躇した感じでレイアさんは考えていたが、
「私ね……
結婚するの……」
俺を抱いたレイアさんは嬉しそうに微笑んでいた。