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凪の始まり  作者: 樹本 茂
12月 健太郎は人を愛せない
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6 お姉さん

「健太郎! 久しぶり! 少し大人になったかな?」


俺は社用車の国産リッターカーの後ろのドアを開けて少しはにかんで声の主を見ていた。最寄りの駅まで東京から出稼ぎに来たキャストの迎えだ。

俺にいい笑顔で髪の毛をワシワシして身体に抱き着いて、甘い良い匂いを俺に擦りつけているのは、レイアさん。二十代半ばで東京のお店に在籍しているが時々、特急にゆられ2時間以上かけてここまでくる。


表情に華やかさがある、まわりをパット明るくする都会の匂いがする女性だ。


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