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2 昔の俺1
10年以上前……
俺がこの店に入ったばっかりの頃……
まだ、子供だった俺が憧れた、唯一の大人のお姉さんがいた……
雅さんに会うきっかけを作ってくれた女性がいた。
その頃の俺は……人を好きになる事が害悪のように思っていた。
人を好きになる事は廻りの人間を不幸にする事だと理解していた。
俺は15歳の時に食うや食わずになって、オーナーに拾われた。
父さんがどこかに消えたからだ。
蒸発したからだ。
そんなときに俺に手を差し伸べてくれたのがオーナーだった。
あまり多くを語らないが、きっちり人を見て、真意を汲み取り、適切に回答を出す人で、俺はオーナーの様な大人にあこがれた。




