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凪の始まり  作者: 樹本 茂
11月 質の悪い奴ら
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25 タチの悪い奴ら

次の日の朝、


「先生、話があります」


朝の会の最後、俺は手を上げて席から立って、ご学友に言いたい事を言わなければと、汚れ役を勝手出る事にした。


「みんな、今回の件、どう思う? いや、結城さんは謝罪した。だから、その話は終いだ。俺が言いたいのはみんなだ。みんなは結城さんが相川君にいじめを一方的にしていた事は知っていた。だって、書類を書かせたら目撃証言が山ほど出てきたんだから。


……俺が言いたい事は、何でみんな知っていて声を上げなかったんだ?ってことだ。


これは言い方が悪いけど、みんながした事は結城さんと何ら変わらないよ。みんなは実際に手を下していないけど、その事実は知っていた。


これは……

ダメだ。


おかしいって思ってたんだろう? だから、みんなは紙に書いて提出したんだよな? だったら、声をあげようよ。

おかしいって、変だよって言おうよ。


いじめてる奴は何が怖いと思う?


みんなだよ。みんなに何か言われたりするのがとっても怖いんだ。その証拠に……


結城さんすまない……


その証拠に俺に相川君の定規を取っているところを見つかった結城さんは直ぐに隠した、そして、次に俺を悪者にしようとした。


でも、どうだ? 俺の事はそんな事が出来なかった。だって、全然怖くなかったから。俺には信頼できるみんながいると思っていたから、最後には味方になってくれると思っていたから、だから、怖くもなんともなかった。


もし、いじめている事を誰かに言って、その報復を恐れるなら、それは間違いで、みんなの後ろにはみんながいる。だから、卑怯な行いをしている奴を見たらそれは間違いだと言わないか? そんな事はやめようぜと言わないか?


もし、それでも、そいつが牙をむくようなら


……そいつをいじめようようぜ、全員で。


……これは綺麗ごとじゃない。言ってわからなければやってやるんだ。


それが、世の中だ。いじめが良くないのはわかってる。でも、やっている奴も分かっていてやっている。


なら……

遠慮なくやり返そうぜ、全員で……


……そんな事にならないようにみんなで声を出し合おう。俺はそんなクラスになってもらいたくてこんな事を言った。みんなどう考える?」


静寂だ……

クラスのご学友が、あまり見せない俺の真剣な大人の表情に圧倒され、俺の圧に押し黙っている……

俺は少し……

やりすぎたかと思った。


いじめようぜ……

なんて、やりすぎだよな。ただ、この位言わないと、自分のしていた事……

友達のいじめを見て見ないふりをした事への罪の重さが理解できないだろうと俺はあえて強い言葉を使った。


問題になるなら、いつでも受けて立つ。

俺はそのくらい今回の件に憤りを覚えていた。


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