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凪の始まり  作者: 樹本 茂
11月 質の悪い奴ら
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18 タチの悪い奴8

「大きな声出してごめん。でも、やっぱり許せない。悪いけど俺は犯人を……」


言い方悪かったな……


「やってるやつを知っている。俺はその現場を見ている。どうする? 俺に言われるか、自分で手を上げるか? 選ばせてやる。 どうする!!」


俺がたまらず声を荒げたその時に、


「授業ですよー、どうしましたー?」


陽葵先生が随分な温度差で教室に入ってきて、にこやかに教壇に立って、全員に着席を促した。


「先生、相川君の持ち物を壊したり取ったりしている奴がいるので、俺がそいつに自首するように迫っている最中です」


「え? そうなの……佐藤さん、心当たりあるんですか?」


「実は俺、その現場を見ているんです……」


「分かりました。それじゃぁ、授業は止め。


このことについて話しあいます」


「先生! 話あう必要なんてないよ。犯人は結城だよ」


「そうだよ、結城。だってこいつ、いっつも相川の事、クサイだの、汚い、来るな!だの言ってたし……」


「佐藤さんが見たってのも……」


陽葵先生が俺を見て、犯人を名指ししろと目で言う。

マジかよ。それは……


できねえよ。大人が言うのと子供が言うのには偉い差があるじゃないか。


「私……やってないもん……ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


結城さんは旗色が悪くなるとみると席に突っ伏し、廊下にまで響き渡る様な大声を上げて泣き出した。


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