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12 タチの悪い奴2
驚いた様に振り返る彼女は、
「え? 今、帰るところ。佐藤さんは?」
途端に笑顔で俺に答える。
「俺もかえるところだよ、一緒に帰ろうか」
「え?……」
目を伏せて動かない結城さん。その右手には透明の……定規が、三角定規が二つ握られていて、それを俺が後ろから声を掛けた瞬間に笑顔と引き換えに右手をお尻に隠すところを俺は見ていた。
……何だ? この間とこの状況……何だ?
「私、今日、お母さんが迎えに来るから、またね」
そう言うと、脱兎の如く自分の席に戻り赤いランドセルを持つと教室から出て行った。




