7 雅さんの悩み6
「雅さん、何で、俺に相談してくれなかったんですか?」
俺は、そんな事が、俺が事務所に入ってそそくさと雅さんが出ていくという事が、数日続いたある日、郷田さんに了解をとって、早速、雅さんを事務所に呼んで、彼女の気持ちを聞いていた。
今までの俺の流儀だったら、決してこんな事はしなかった。人に深くかかわる事を嫌っていたからだ。俺自身がそうであったように、他人はどうせ他人だ、自分の事は自分でケリをつけるしかないと、子供の時から、自分に言い聞かせて、今までやってきていたからなのだが、俺は、大きな勘違いをしていたことに気付かされた。それは間違いだったと気が付いた。この四月からの小学生生活によって。
そして、俺はそんな俺だからこそ、雅さんの想いに寄り添えることもわかっていたし、ぜひ、そうしたいと強く願った。
「俺が、小学校中退のボンクラだからですか?」
「そういうことじゃ無いよ。ぜんぜん、そんなんじゃなくて……」
「前に、俺に言いましたよね? 運動会の時、水臭い事するなって……俺は、同じ事言いますよ、雅さん。水臭いですよ。もっと、俺を頼ってくださいよ」
「頼るったって、そんなの……」
「そうですね。雅さんの能力の問題でしょうから、俺に相談してもしょうがないって気持ちは分かります。それは仕方がない事だと思います」
少し、雅さんの視線が俯いた。はなっからキツイ言いまわしだったことは理解している。




