1 報告
「父には本当の事を言えずに帰ってきました」
「そうですか、そうなんですね」
満島先生が出張とやらで、学校に居なかったのだが、しばらくぶりで学校に出てきたのを、俺はそれを目ざとく見つけて校長室に押しかけて、修学旅行の、満島先生が見つけてくれた俺の父さんとのその後について報告した。
「まあ、君らしいね。一つ言えるのは、今の気持ちが、そうなだけで、何年後か、何十年後かまでは分からないってことだよ。血のつながりがある以上ね……
うん……
君の気持ちも十分理解できる。全ての始まりな訳だしね。後は、君に任せよう。そうだな、十分な大人なのだから、君が決めるべきことなんだ。こういう仕事をしているとね、どうも、全部が子供に見えてしまうんだよ。でも、君が特別と言えば特別でもあるのだけどな、ハハハハハ」
そんな事を言って一人納得をする先生は、結局、俺と同じ判断をしたことになる。
「先生、顔色がお悪いようですが……」
校長室に入って満島先生を見た瞬間に思った感想だ。顔色が悪い……というよりも、血の気が失せている?青白い……そんな感じだ。
「そうかい? この通り、何ともないけどね」
肩をすぼめて俺におどけてみせた。




