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22 おじさん1
「この辺りじゃないの?」
「そう、今日は修学旅行でここに来たの、それで………………」
ヤバい、喋っちゃった。
「どうしたの?」
えーと、どうするか………………
「そうか……しゃべっちゃダメだったんだね。ごめんね。訊いて」
私、どうしよう、地下鉄を降りた後、言われたことをサラっと破ってしまった。けんたろーに怒られる。まだ寝てるけど。
「………………そうか、おじさんはね。お嬢ちゃんと同じとこの出なんだよ。
……偶然……だね。
海が綺麗だよね。
夏も東京程暑くないし、食べ物もおいしいしさ、いい所だよ。
あの街を出て初めて分かったよ。
とってもいい所だったって、出て初めて………………
大切な事がわかった」
なんだろう? おじさんの話し声が小さくなって、それは、何かずっと昔の思い出を語る様に聞こえてきた。




