150/387
21 けんたろー寝る
けんたろーが寝てしまって、話し相手は私だけになってしまって、かれこれ1時間、話すネタなど既に無くなって久しい。さすがの客商売のおじさんは、私を飽きさせない様に子供の私が答えやすいような話題を提供してくれて、比較的聞き役に徹してた。
「お兄さんはけんたろうさんって言うんだね」
「え? 何で知っているの?」
「玄関に来た時、お嬢ちゃんが呼んでいたからね」
ああ、そう言えば。
「お嬢ちゃん、どっから来たの?」
「私? 福島の南、海のそば」
「………………」
おじさんが俯いた。
あれ?どうした?




