13 けんたろーの落とし方2
私は、子供リリィさんを発動して、わがままを通すことにした。子供に弱いけんたろーは絶対NOとは言わない事を知っているから。ずるい私は、けんたろーの落とし方マニュアル通りに進める。
甘えろ!
「嫌、一緒に行く」
私はけんたろーの袖を掴んで潤んだ瞳で見つめる。
「私、一緒に行く、けんたろーの辛いときに一緒にいてあげたい。だから、一緒に連れてって」
けんたろうーは、いい人だ。子供の頼みごとを無下にするような人間ではない。それを私は理解している。
顔のディスプレイに書いてあった。“僕辛いんです“という表示を私は感情を込めて読んだ。
健太郎の顔に“参ったな、こうなるとテコでも動かないってやつだ。時間も無い”と、表示されている。
「きっと、見てても楽しい気分にはならないと思うよ。見届けてくれるの? 俺の人生を……」
え?そんな重いはなし?しまった、東京に来てけんたろうーと二人きりになって嬉しくて突っ込み過ぎたかも、まずった。
でも、いいよ。そんなに私のこと信頼してくれているんなら……
「うん、ありがとう。けんたろーに私、寄り添うって決めてるから、私にその居場所をくれてありがとう」
なんか大きな話になってきた。




