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凪の始まり  作者: 樹本 茂
10月 けんたろーの旅路
138/387

9 おいかけろっ!1

ホテルのロビーで未海ちゃんと遊んでいたら、けんたろーが外に出ていくのが見えた。勝手に外に行くなと言われているにもかかわらず、あいつは外に出て行った。私は、班、六人の安全を預かる班長として、ここは、あの大人小学生にガツンと言ってやらねばと、隣でお菓子を頬張る未海ちゃんに、


「ちょっと、行ってくる。陽葵(ひなた)には黙ってて」


そう言って、けんたろーの後を追った。


ホテルのロビーを抜け自動ドアの先、大通りの歩道を、右に曲がったのまでは、ロビーから見えていたし、未海ちゃんと会話をしている風を装い眼で追っていたので、そこまでは分かっていた。


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