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28 未海さん6
「こんにちはー、佐藤です」
インターホンを押した。
学校の連絡帳と宿題を届けるのが俺の役目だ。ついでに完ロリもついて来た。
手が無かった。俺にはどうしようも無かった。
未海さんのお母さんとは、前から、4月からの顔見知りだ。俺が彼女の連絡帳を届けるのは日課になっていたので、何の疑いもなくドアを開けて俺の横に立つリリィさんを見て驚いている。
この時点で、もう俺には、後悔しかない。未海さんのお母さんの表情が全てを物語っていて、分かりやすくマズイ雰囲気をお母さんが作り出している。
「連絡帳、お持ちしました」
「……あ、ありがとうございました」
ひきつる笑顔で俺から連絡帳を受け取ると、礼を言って中へ無言で入ろうとした。
ドアが閉まる……
「待って! 待ってください!」
ああ、言っちまったよ、俺。
どっちみち、もう避けて通れないんだろう……なら、もう、出直しとかしたくない。この場で決着を着けたい。