凪の始まり

9月 リリィさんと海（後編）

22 温存兵器の使い道2

「先生、ロシア語得意なら、リリィさんのお母さんのお話し相手になってもらえませんか？」

俺は満島先生も現れた六年一組の教室で、言ってみた。

いつも自室にいて陰々鬱々としている気持ちを少しは理解しているつもりだ。

「構いませんよ。全然。時間あるし」

俺は温存兵器の使い道がやっとわかった。友達なんて、与えるものでは無いこと位、俺は知っている。それでも、少しでも気が晴れるのなら、可能性があるのなら、俺は一縷の望みにかけてみる。