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14　リリィさんの理由1

俺はあの日、花火の帰り道、リリィさんのお母さんに会っていた。

お墓でも会っていた。

その時の事を俺は考えた。リリィさんのお母さんはそのどちらでも、やはり、かなり、子供にあたる様な態度では無くて、外国語でまくし立てて、リリィさんを困惑させていた。

もっと、俺の感じたままに言えば、リリィさんは俺にお母さんを見せたくなかった。

リリィさんは、だから、俺を防波堤の上に置いてサヨナラを告げて走り去っていった。俺に背を向けて、お母さんを抱きしめて、お母さんの表情を、鬼気迫る表情を見せたくなかった。

何故か？

お母さんは慣れない日本で頼りにしていた旦那さんに死なれて孤独になった。そして、鬱々と暮らす中で、ストレスがたまり続け、いよいよ、それは問題行動となって具現化しだした。

その面倒を一手に見ていたのはリリィさんだ。