13 リリィさんの不登校7
リリィさんがこんなにも子供の年相応の表情をして泣いている事が俺にはたまらなく安心出来た。彼女が大人びて、大人の様に振舞わなければならなかったのは、俺と同じ、子供の時の俺が味わっていた“惨めさ”だったんだ。
そうだね、辛かったね。ごめんね、もっと、早く気が付いて上げれなくて……俺は八月の花火大会の頃、彼女が海外で生活していたから、多少、日本の子供とずれてるのだろう、くらいに見ていた。でも、そうでは、無かった。いや、そういうところもあるのだが、そうでは無かった。
俺が初めて彼女に会った時、防波堤で会った彼女は、所属欲がないから、学校には興味がなくて行っていない。と俺に言った。でも、その後、俺は彼女を知れば知るほど、この言葉に違和感ばかりを感じていた。普段、俺に接する彼女はとても、話が好きな、物わかりの良い、とても、小学六年生には思えないやり取りで、俺に対峙しているし、花火大会の時も素直に喜んで俺の招きを受けたし、ウチの店の連中の中に入っても上手く立ち回っていた。そんな子が口にした自分評は、あまりにも俺の印象からはかけ離れていた、
そこで、俺は一つ仮説を立てた。
『リリィさんは嘘をついている。不登校の理由は別にある』
そうすると、全ては繋がった。俺の中では完璧につながった。




