20.初回生産限定版の特典ドラマCD同梱パッケージ
隣の巫女候補の表情を窺う。
あんぐりと口を開けて目を見開いて、リリアと彼女を取り巻く攻略対象たちを見つめていた。
そうそう、これこれ。
これが見たかったのだ。
内心で腕を組んで頷いた。
これでリリアは汚名返上名誉回復、教会でこの子から小馬鹿にされることもないだろうし、ついでに私の面目も保たれた。素晴らしい大団円だ。
それもこれも、リリアが友情エンドを迎えてくれたおかげだろう。
あくまでエンディングとしては「私との」友情エンドだが、魔女やら記憶喪失やらの諸々が解決に至ったのは、リリアが他の攻略対象たちともそれなりに友好を深めていたからだ。
そう思うと今のこの光景も、あながち大嘘というわけではないのかもしれない。
可愛らしいが普段よりも少し大人びた雰囲気のリリアを囲む、色とりどりのイケメンたち。
乙女ゲームみたいだ、と思った。
より正確に言うなら、乙女ゲームの初回生産限定版の特典ドラマCD同梱パッケージの描き下ろしイラストのようだった。
この絵面、見たことがある。ゲーム内の正装で描かれたりするのもあるあるではないだろうか。
たいへん贅沢な絵面を大満足で眺めていると、ぱっとリリアと目が合った。
私の顔を見て、一瞬リリアの表情が明るくなる。
しかし私の隣にいる巫女候補を視界に入れるや否や、これ見よがしに不機嫌そうな顔をした。
そして自分の周囲の男性陣をちらりと見回してから、もう一度私を見て頬を膨らませる。
その後もリリアがじとりと恨めしげな顔で私を睨みつけているので、つい笑ってしまった。
何だよ、その顔。
さっきまでの無の顔はどうした。突然の百面相は卑怯だろう。笑うなと言う方が無理な話だ。
アテレコするなら「あっエリ様! 今日もカッコよ……はっ!? また女の子誑かしてる!! ていうかそもそもこうなってるのはエリ様のせいなのに何で他人事見たいな顔して面白がってるんですか!? もう!!」と言ったところか。脳内再生余裕すぎる。
他人事だし面白いので仕方がない。
こちらに来いと訴えるように私を睨むリリアに、やれやれと肩を竦める。
だが、そうだな。
友情エンドの結果というのなら、ここで私が行かないのは筋が通らない。
まだまだ現役攻略対象でもやっていけるところを見せつけるべく、前作主人公のファーストダンスでも奪ってしまうとするか。
「失礼。うちのお姫様が呼んでいるみたいだから――」
「……い」
「ん?」
隣の巫女候補に声を掛けたところで、彼女が何やらぶるぶる震えていることに気づいた。
驚きのあまり震えているのかと思ったが……何やら様子がおかしいような。どうしたのかと彼女の顔を覗き込む。
「すっ…………ごい!!!!!」





