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モブ同然の悪役令嬢に転生したので男装して主人公に攻略されることにしました(書籍版:モブ同然の悪役令嬢は男装して攻略対象の座を狙う)  作者: 岡崎マサムネ
第2部 第8章 偽物編

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エピローグ(2)

「不思議だったんです。この世界、見た目がいちばんっていうか。外見が良ければいい、みたいな世界観で」

「そりゃ、乙女ゲームだし」

「そんな中で、見た目はイケメンじゃないのに皆から愛されてる人、いるじゃないですか。わたし、それがずっと、不思議で」


 はて、誰のことだろう。

 頭の中で心当たりを探す私の顔を、リリアがいやに真面目な顔で見つめて、言う。


「エリ様の、お兄様ですよ。次期人望の公爵として、皆に好かれて、愛されてる。不思議に思ったこと、ありませんか?」


 リリアの言葉に、目を見開いた。

 どうして急に、お兄様の話になる?


 お兄様が、愛されている。

 それには私も同意する。家族はもちろん、王太子殿下の覚えもめでたい。きっかけはよく知らないが、今はアイザックやロベルト、マーティンとも仲良くしていると聞いている。

 その他、お兄様のことを知っている人間と話す機会も多々あるが――誰一人、お兄様のことを悪く言う人間はいなかった。


 それを、不思議に思ったことがあるか?

 そんなもの。


「あるはずないだろ」


 きっぱりと、リリアの目を見て、否定する。


 不思議に思ったことなど、ない。

 私がお兄様のことを好きなのは、私にやさしくしてくれるからだ。お兄様に恩義があるからだ。

 いつもやさしくて穏やかで、それでいて、誰かのために必死になれる人だ。


 そんな人間のことを、嫌いになるはずがない。

 それこそ人の心がないのかと言われるだろう。


「お兄様は誰にでもやさしいから。やさしくされて嫌いになる方が少数派だろ」

「そういうことじゃないんですよ」


 私の返事に、リリアがゆるゆると首を横に振った。

 そして膝の上で突き合わせた自分の指を見つめながら、ゆっくりと言葉を選ぶように、話始めた。


「わたし、エリ様のお兄様とお話したこと、あるんです。エリ様が魔女に取りつかれて、倒れたとき」

「え」

「それ以外にも……エリ様のお屋敷で会ったこと、何回もありますよね」


 倒れていた間のことは知らなかった。

 リリアが以前不穏なことを言っていたのもあって、出来る限りお兄様とは接触させないようにしていたからだ。


 だが、私とお兄様が同じ家に暮らしている以上、完全に接触させないというのは無理筋だった。

 リリアが来ているときにお兄様がサロンに現れたり、帰り際にエントランスで挨拶をしたり。そういった短時間のコンタクトは発生していたし、私もその場に立ち会っている。


 それが一体、どうしたのだろう。

 今の話の流れで、その話題に触れることに、何か意味が、あるのだろうか。


「気づいたんです。――わたしの、魅了。効果がなかった、って」


 リリアの声が、重苦しく、硬いものに感じた。

 魅了が効かない。それは、つまり――心に決めた相手がいるか、さもなくば。


「フグには、フグの毒……効かないんです、よね」


 何度も、そのたとえ話を聞いた気がする。


 記憶を辿る。

 リリアと会った時。確かに、お兄様の目は――ハートになって、いなかった。


 西の国にいた頃、リチャードはあんなに一瞬で、目がハートになっていたのに。

 モブ特効たる、聖女の魅了。私にも効くそれが、私以上の――乙女ゲームでは立ち絵すらなかったお兄様(モブ)に、効かない理由。


「聖女の力がある人間には――魅了が、効かない」


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― 新着の感想 ―
でもお兄様がエリ様の記憶無くしそうにはなってたんだよね? あの時たまたまお兄様は北の国に入っててエリ様の記憶喪失にはならなかったけど
なるほど… 力は遺伝するって話だったし、公爵家の人望自体がほんのり聖女パワーだったと言うことか。 ほんのりなのであればお兄様が認識改変の影響に抵抗しつつも影響は受けていたのにも説明が付く。 それに当…
ようやく追いついた。。。4日かかったよ〜(笑) 個人的には弟と王太子ウザくて西の国編結構イライラしながら読んでて、途中ギブしそうになったけどなんとか頑張って良かった(笑) リチャードまじそれな。 お兄…
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