5.「この国の女はだいたい抱いた」みたいな顔
気づいたらポイント数が2万ポイントを超えていました……!
応援いただきまして、ありがとうございます!
応援のお礼を兼ねて、クリスマス(?)小話を活動報告に置きましたので、よろしければご覧ください。
「というわけだから、君にも一緒に来てほしいんだ」
「どういうわけでしょうか」
先日深夜に無理矢理連れ出したお詫びに誘ったお茶会で、私はリリアに向かって微笑みかけた。
リリアは頬をふくらませて、つんとそっぽを向いている。
突然連れ出された挙句に置いてけぼりで話が進み、そのまま何をするでもなくリリースされたので、機嫌を損ねたらしかった。
それでも誘いに行けばこうしてほいほいついてくるので、さほど怒っているわけではないのだろう。
私はお兄様を西の国にはやりたくない。
だが、私が成りすましてお兄様の評判を過度に下げるようなやり方をするのも、公爵家の今後を思えば得策とは言えない。
お兄様の政治的な評判はできるだけ落とさず、向こう様から「やっぱりこの話はなかったことに……」と断ってもらうのが一番丸く収まるのだ。
そのための手段として、私が思いついたのは1つだけだった。
「お兄様に成りすますにあたって、超絶女たらしという設定で行こうと思うんだ」
「超絶女たらし」
「考えても見たまえ。王女様が『この国の女はだいたい抱いた』みたいな顔をしたやつと結婚したがると思うか?」
「それは、したがらないと思いますけど」
リリアの言葉に、そうだろうと鷹揚に頷く。
一夫多妻の国もあるが、女の子というのは結局一番になりたいものである。
一番がたくさんいる男を嫌厭する女子は多い。
お兄様の素晴らしさに気づくような相手だ。顔面至上主義のこの国の女性たちよりもまともな感性をしているに違いない。
そんな人物であればきっと「結婚相手にこういう男の人はちょっと」と思ってくれることだろう。
しかし女性がそう思ったとして、男からすれば「女たらし」というのは勲章でしかない。
酒の席での武勇伝にはなるだろうし、多少は妬む者もいるかもしれないが……その程度だ。
未だ男性しか爵位を継げないこの中世ヨーロッパ的世界観において、政治の表舞台に立つのは常に男性である。
この方法を取った場合のお兄様の今後への影響は、結果として「超絶女たらし」という大それた言葉から想像するよりも、ずっと小さなものになるはずだ。
そしてやるからには、全力で行く。
中途半端では意味がない。
「もう王女様以外の西の国の女性を全員落とすぐらいの心持ちで行こうと思う」
「あの、エリ様? わたしひとり落とすためにあれだけ全方位イケメンやってたのに、本気でそっちに舵取りしちゃったらまずいと思いますよ? 刺されますよ、いよいよ」
「さしあたって、可愛い女の子を伴って行くのが最高に第一印象が悪いと思うから一緒に来てほしいんだ」
「それはわたしが刺されるやつでは?」
「自動復活をかけておけば問題ないよ」
「刺されるやつだ!」
ぎゃあぎゃあ叫ぶリリアを無視して、紅茶を啜る。
刺されたところで死ぬわけでなし、すぐに自分で治せるのだから特段騒ぐ必要もないと思うのだが。
応援へのお礼に、来週は毎日更新にてお送りしようと思います。
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