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プロローグ

 私が前世らしき記憶を思い出したのは、7歳のとある春の日、朝食のオムレツを口に入れた瞬間だった。

 なんと刻んだピーマンが入っていたのである。

 

 私はピーマンが大の苦手である。

 ピーマンが得意な人、または何とも思っていない人には分からないだろうが、苦手な側からしてみればこれはもはやテロである。口の中に広がった苦味に寒気が走り、私は椅子ごと後ろにぶっ倒れた。


 料理長は「え~! ピーマンが入っているなんてわからなかった~!」というリアクションを期待したのかもしれないが、はっきり言う。それはフィクションの世界にしかありえない。

 どんなに小さく刻もうが、何かに混ぜようが、味付けを工夫しようがわかってしまうのだ。何故なら苦手なので。


 倒れるさなかで、脳裏に浮かんだのだ。自分と同じ名前の少女が登場する「乙女ゲーム」のことが。


 今まで私が7年間生きてきたこの世界には、「乙女ゲーム」などというものは存在しない。

 電気もないし、ガスもない。服は動きにくいドレスだし、主な移動手段は馬車だし、テレビもゲームももちろんない。


 にも関わらず、その「乙女ゲーム」のことと、電気やガスといったこの世界にないはずのものが存在する世界のことは、驚くほどすとんと私の頭の中で受け入れられた。

 私は前世でプレイしたことのある「乙女ゲーム」のキャラクターとして転生したのだと、不思議なことにたいした驚きも衝撃もないままに、受け止めた。


 何故かは分からないけれど、「ありがちな展開だな」と思った。


 ここは乙女ゲーム「Royal LOVERS」の世界。ちなみにジャンルは「ノーブルでファビュラスな愛を囁きあう恋愛SLG」。


 頭の中でOPムービーが流れ始めたところで、私の乗った椅子が地面に到達し、私は背中を強かに打ちつけた。


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