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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

介護が必要なワシはいつも空腹

掲載日:2020/05/30

遅くなりましたが逆お気に入り登録増加短編です。

ワシは今年で89歳になる・・・

若い頃は徹夜で遊んで仕事に行ってたりしたものだが、今では年を取ってこのありさまだ。


「はーいお爺ちゃんオムツ変え終わりましたよ~」

「いつもすまんなぁ~小津枝さん」

「いえいえ~」


介護施設から娘が居ない日は小津枝さんがワシの世話をしに来てくれている。

一人でトイレにも行けない不甲斐無さにももう慣れた。

昔の記憶は鮮明に思い出せるのに、最近ではついさっきの事すら忘れてしまう。

それに気付けないという事実に恐怖したが、それすらも忘れてしまうのだからもうどうしようもないのだ。


「あぁ~」


ゆっくりと体を起こして立ち上がる。

腰は曲がってしまったが、まだ歩けるだけワシはマシな方なのだろう。

そうして立ち上がるとお腹がクーと鳴った。


「小津枝さん、飯はまだかのぉ~?」


隣の部屋に行くと小津枝さんが食事を取っていた。

食事の最中にワシのオムツを交換してくれたのか・・・

悪いことをしてしまったと考えたが直ぐにそれも忘れてしまうのだろう・・・


「お爺ちゃん、お昼さっき食べたでしょ?」

「あぁ~そうだったかのぉ~」


そう言われてみればさっき食べたような気がしてきた。

そんな事すらも分からないのが悲しい・・・


「ほら、無理しちゃ駄目ですよ」

「いつもすまんな~小津枝さん」


そう言って体を支えてベットに戻してくれる。

ここから一日中殆ど動かない生活・・・

人に助けてもらわないと生きられない現実はワシから自信を奪っていく・・・

これからどんどん記憶も体力も失われて行くのだろう・・・






「ただいま~」


玄関から声がした。

娘の幸子が帰ってきたのだ。


「小津枝さん今日もありがとうございました」

「いえいえ、お爺さん手が掛からなくて本当助かりますよ」


隣の部屋で娘と小津枝さんが会話をしているのを天井を眺めながら聞く・・・

テレビでも見ようかと枕元のリモコンに手を伸ばした。


「先日の選挙で・・・  昨夜未明国道の・・・   明日の天気は・・・」


ワシが何もしていなくても世の中は回っていく・・・

垂れ流される情報を呆然と見ていた。




暫くしてワシの腹がクーと鳴りゆっくりと立ち上がった。


「幸子、飯はまだかのぉ~?」


隣の部屋に行くと娘が洗い物をしていた。

娘はゆっくりと振り返り笑顔で伝える。


「何言ってるのよお爺ちゃん、今日もきちんと残さず全部食べてくれたんじゃない」


そう言って食卓テーブルの上に在った皿を洗っていた。

どうやらワシはまた食事を食べた事を忘れていたらしい・・・

本当年は取りたくないものだ。

ワシは再びベットに戻った。


横になるとワシの腹がまたクーと音を立てる・・・



忘れるって怖いですね~

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